2010年01月18日

◆「縁を活かす」

先週の金曜日、セミナーで講師が読まれた内容です。

心温まるものがありましたので列記します。

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             「縁を活かす」

その先生が5年生の担任だった時、1人服装が不潔でだらしなくどうしても
好きになれない少年がいた。
中間記録に先生はどうしても少年の悪いところばかりを気にするようになっていた。

ある時、少年の1年生からの記録が目にとまった。
朗らかで、友達が好きで人にも親切。勉強もよくでき将来が楽しみとある。

間違いだ!他の子の記録に違いない。

先生はそう思った。

2年生になって母親が病気で世話をしなければならず、時々遅刻する。と書かれていた。
3年生では母親の病気が悪くなり疲れていて教室で居眠りする。
後半の記録には母親が死亡、悲しんでいる。
4年生になって父は生きる意欲を失いアルコール依存症となり子供に暴力を振るう。

先生の胸に激しい痛みが走った。
ダメと決めつけていた子が突然深い悲しみを生き抜いている生身の人間として
自分の前に立ち現われてきたのだ。

先生にとって目を開かれた瞬間であった。

放課後先生は少年に声をかけた。
「先生は夕方まで教室で仕事をするからあなたも勉強していかない?
わからないところは教えてあげるから。」

少年は初めて笑顔を見せた。

それから毎日少年は教室の自分の机で予習復習を熱心に続けた。
授業で少年が初めて手を挙げた時、先生に大きな喜びが沸き起こった。
少年は自信を持ち始めていた。

クリスマスの午後だった。
少年が小さな包みを先生の胸に押しつけてきた。
後で開けてみると香水の瓶だった。
亡くなったお母さんが使っていたものに違いない。

先生はその一滴を付け、夕暮れに少年の家を訪ねた。
札然とした部屋で1人本を読んでいた少年は気がつくと飛んできて
先生の胸に顔をうずめ叫んだ。

「あっ!お母さんのにおい!今日は素敵なクリスマスだ!」


6年生では先生は少年の担任ではなくなった。
卒業の時、先生に少年から一枚のカードが届いた。

  先生は僕のお母さんのようです。
  そして今まで出会った中で一番素晴らしい先生でした。

それから6年、またカードが届いた。

  明日は高校の卒業式です。
  僕は5年生で先生に担当してもらってとても幸せでした。
  おかげで奨学金をもらって医学部に進学することができます。

10年を経てまたカードが来た。
そこには先生と出会えたことへの感謝と、父親にたたかれた経験があるから
患者の痛みがわかる医者になれると記され、こう締めくくられていた。

  僕はよく5年生の時の先生を思い出します。あのままダメになってしまうところを
  救ってくださった先生を神様のように感じます。
  大人になり医者になった僕にとって最高の先生は5年生の時に担任してくださった先生です。

「縁を活かす」

そして1年。届いたカードは結婚式の招待状だった。

  母の席に座ってください。

と1行添えられていた。

                  終わり




小田和正  「woh woh」
http://www.youtube.com/watch?v=0VR3HrODFds&feature=PlayList&p=AE7044323944E1BA&playnext=1&playnext_from=PL&index=23

http://www.aqua-ss.jp
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この記事へのコメント
なかなか「不労所得」は難しいですのぉ~
ぼちぼち [仕掛け]も換える時期ですかなぁ? ファイト!
Posted by やまめ at 2010年01月19日 17:33
新たなる「仕掛け」を考えますぞ!
Posted by aquaaqua at 2010年01月20日 10:46
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